外国人が日本企業の採用面接をはじめて受ける場合、何を聞かれるのか、日本語でうまく答えられるか不安な方もいると思います。
でも心配はいりません。面接での質問はどの企業もだいたい同じなので、それらの質問に対して答えられる準備をしておけば大丈夫です。
この記事では、日本の企業で約20年、外国人も含めこれまで数百人を面接してきた私が、採用面接でよく聞く質問と、面接官として重視するポイントを紹介します。これから日本企業で働きたい人の参考になると思うので、ぜひ最後まで読んでください。
面接官が面接で重視するポイント
日本企業の面接官は、面接で何を重視しているのでしょうか?
日本人か外国人かに関わらず面接官が重視するポイント
相手が日本人か外国人かに関わらず、日本企業の面接官が面接で重視するポイントは以下の項目です。
- 身だしなみ
- 話しているときの表情
- 受け答えの仕方
- 長く働いてくれそうか
- 仕事に必要なスキルや能力があるか
なぜスキルや能力以外の項目がこんなに多いのかと思う人がいるかも知れません。日本企業では、仕事の成果を出すことはもちろん大事ですが、社内外の人と良い関係を築いて仕事をしてくれるかが重要な評価ポイントです。成果さえ出せば、周りの人からどう思われようが関係ないという人は、日本企業ではなかなか受け入れられません。
面接官は、面接の短い時間だけでは、応募者が周囲と良い関係を築けるかどうかは判断できません。そのため面接官は、身だしなみや表情など、相手を不快にさせない努力をしているかを見て、その人が協調性がありそうかどうかを判断します。
面接官が外国人の日本語力を評価するポイント
外国人の場合は、上記に加えて日本語力も重要な評価ポイントです。仕事の内容によって求める日本語のレベルは違いますが、レベルに関わらず評価するポイントは変わりません。主なポイントは以下の3つです。
- 日本語の質問を正しく理解しているか
- 分かりやすい日本語で答えられるか
- 敬語が使えるか
流ちょうさより、正しく分かりやすく話せることが大事です。流ちょうだけど質問と合っていない答えをする人を見ますが、仕事の指示も伝わらないという評価になります。面接官の質問の意味を正しく理解できたかどうか不安だったら、「質問をもう一度お願いします」と伝えて、質問に合った答えをするようにしましょう。
また日本で仕事をするには敬語が使えることはとても大事なので、敬語はしっかり練習しておくことをオススメします。
面接官の呼び方は下記の記事が参考になります。
日本企業の面接で必ず聞かれる質問
Q. 自己紹介をしてください。
①面接の機会をもらったお礼(例:本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。)、②自分の名前と母国・出身大学など、③これまでの経験や努力してきたことのアピール、④この会社でどうなりたいか、⑤締めの言葉(例:本日はよろしくお願いします。)の構成で、長くても3分以内にまとめて話します。過去の経歴や持っているスキルについてはあとで詳しく聞かれるので、ここでは詳しく話さなくて良いです。
Q. 志望理由を教えてください。
面接官がこの質問をするのは「この会社で長く働いてくれそうか」を判断するためです。日本も昔に比べると転職は一般的になりましたが、企業は長く働いてくれる人を求めます。
「なぜ他社ではなくこの会社が良いのか」、「この会社のことをよく調べているか」が伝わると、面接官の評価が上がります。逆に、会社のことを何も調べていないなということが伝わると評価はかなり下がります。会社の基本情報と歴史、すべての事業内容、他社に比べての強みは、必ず把握しておきましょう。
Q. 転職理由を教えてください。
中途入社の面接では必ず聞かれます。前の会社に何らかの不満があって退職したことは面接官も理解しているので、ネガティブな理由でも正直に伝えてかまいません。ただし「評価してもらえなかった」や「やりたい仕事ができなかった」などの理由だけだと、この会社でも不満が出たらすぐに辞めるかもしれないと判断される可能性があります。その不満が改善されるように努力したことも一緒に伝えましょう。
転職の理由で一番多いのはキャリアアップだと思います。キャリアアップでの理由は面接官に良い印象を与えます。ただし、この会社もキャリアの1ステップと考えていると面接官に思われないように気をつけましょう。前述したように会社は長く働いてくれる人を求めるので、「すぐにまた転職するかもしれない」と思われると評価が下がります。
Q. 日本に来た理由を教えてください。
外国人の場合は日本に来た理由を聞かれると思います。単純に「日本に来た理由が聞きたい」のと、「日本に長く住むつもりがあるかどうか」を確かめるのが理由です。理由に関わらず、多くの面接官は外国人が日本に興味を持ってくれたことをポジティブに受け取ると思うので、詳しく話してみてください。
Q. 質問はありますか?
この質問は面接の最後の方に聞かれます。この質問の意図は「この会社で働きたい気持ちが強いか」を確認するためです。質問がないと「この会社にあまり興味がないのかな」「入社してもすぐに辞めるかも」と判断される可能性があります。それまでの話ですでに聞きたいことは全部聞いたとしても、必ず何か質問しましょう。質問の内容は何でもかまいませんが、会社のWebサイトを読めば分かることは聞かない方が良いです。
質問の例:
・今後AIによってどう影響があると考えていますか?
・他の社員はどのような年齢層が多いですか?
・職場以外で社員同士の交流はありますか?
・どういうキャリアパスがありますか?
そのほかに面接でよく聞かれる質問
Q. 過去の経歴に関する質問
転職の場合は過去の仕事の経歴、新卒の場合は学校やアルバイトでの経験を話します。達成した実績や持っているスキルは、どんどん伝えましょう。
Q. あなたの長所・短所は何ですか?
人間は誰でも長所と短所はあるので、答えは何でもかまわないと思います。ただし「短所はありません」という答えはしない方が良いです。「自己分析できない」、「協調性がない」と判断される可能性があります。
Q. 将来のキャリアプランを教えてください。
これも「この会社で長く働いてくれるか」を確認するための質問です。たとえ、この会社は自分のキャリアのステップアップの場所と思っていたとしても、正直には伝えない方がいいでしょう。
Q. 日本語はどのように勉強しましたか?
面接官は、外国人が日本語を習得するのはとても難しいことだと理解しています。それを習得したことは、仕事においても努力ができる人という評価になるので、日本語を習得するために努力したことをどんどん伝えてください。
Q. 母国に戻る予定はありますか?
これも将来のキャリアプランと同じく、「この会社で長く働いてくれるか」を確認するための質問です。「長く」が何年を意味するかは会社によって違いますが、少なくとも3年以上は働いてほしいと思っていると思います。そのため、「すぐにはないが将来は戻るかもしれない」という答えは特に問題ないでしょう。
Q. 条件の希望はありますか?
給与や勤務場所など、絶対に譲れないものがあれば正直に伝えましょう。それを隠して入社できたとしても、その条件が原因ですぐに辞めてしまえば、あなたにとっても会社にとっても不幸なことです。
まとめ
この記事では、日本企業の面接でよく聞かれる質問について解説しました。日本企業で働いたことがない人には理解できない質問もあったかもしれません。もちろん企業によって質問の内容や評価基準は違う可能性はありますが、ほとんどの会社は上記の質問で面接が進みますので、覚えておいて損はないと思います。
面接官に自分の良いところをしっかりアピールして、日本で素晴らしいキャリアをスタートできるように頑張ってください。