みなさん新年をいかがお過ごしですか?
日本は町中がお正月のおめでたい雰囲気に包まれていてとても賑やかです。そんなお祭りのような空気の中、新しい年の始まりに少し背筋が伸びるような気がします。
日本のお正月には、「おせち料理」と呼ばれる特別な料理を食べる伝統があります。
そこで今回は、おせち料理とは一体何なのか、その歴史やそれぞれの料理に込められた願いをご紹介します。
おせち料理の歴史
おせち料理は現在でも定番のお正月料理ですが、その歴史はなんと弥生時代(紀元前10世紀頃)までさかのぼります!!
弥生時代に中国から日本に「暦(こよみ)」が伝わると、中国の風習にならって日本でも季節の変わり目に神様に「御節句(おせちく)」と呼ばれるお祝いのお供え物をするようになり、神様からのお下がりとしておせち料理を食べるようになったそうです。
平安時代(710年~1192年)になると、このおせち料理を食べる風習が宮中行事になり、江戸時代(1600~1868年)には一般の家庭にまで広まりました。
また、現在はお正月の料理として定着しているおせち料理ですが、当時は「五節会(ごせちえ)」と呼ばれる年に5回ある行事に毎回食べられていたようです。
現在のおせち料理
現在のおせち料理は写真のように重箱に詰めるスタイルが一般的です。また、5段の重箱に詰めるのが基本とされていますが、最近は家族の人数に対して量が多すぎるという理由で3段や1段のおせち料理を用意する家庭も増えています。
重箱は上から「一の重」「二の重」「三の重」「与の重」「五の重」といいますが、「四」は「死」を連想させるため、4段目だけ同じ音の「与」という字があてられています。
おせち料理の意味
古くから日本で親しまれているおせち料理には一品一品に意味があります。おせち料理に込められた願いを重箱の順番にご紹介したいと思います。
一の重
一の重には主に「祝い肴(いわいざかな)」と呼ばれるお酒のお供や「口取り」と呼ばれるお吸い物と一緒に食べる甘味が入れられます。
料理名 | 詳細 | 意味 | 理由 |
---|---|---|---|
数の子 | ニシンの卵の塩漬け | 子孫繁栄 | 卵の数が多いから |
黒豆 | 黒豆を甘く煮詰めた料理 | 「まめまめしく」元気に働けるように願う | 「豆」の語呂合わせ |
田作り | カタクチイワシを干し料理 | 豊作 | 昔コイワシを田畑の肥料にしていたため |
たたきごぼう | ゴボウを煮てたたいた料理 | 豊作 | 豊作の象徴である黒い瑞鳥に似ているから |
伊達巻き | 渦巻き状に巻かれた卵焼き | 知識が増えるように願う | 古い巻物の形に見立てているから |
栗きんとん | 栗の甘露煮にさつまいものペーストを加えた料理 | お金が貯まるように願う | 料理自体が鮮やかな黄金色で、「きんとん」は「金団」と書き「団」は何かの集まりを意味するので、「金団」は金の固まりとも読めるから |
昆布巻き | ニシンを昆布で巻いてかんぴょうで結んだ料理 | お祝い | よろこぶの「こぶ」と昆布(こぶ)の語呂合わせ |
紅白かまぼこ | 切ったかまぼこ(クジャクなどの形にすることもあります) | 紅は魔除けやよろこび、白は神聖さ | めでたい色だから |
二の重
続いて二の重には、下記のような海の幸の「焼き物」を入れることが多いです。
(ちなみに筆者はこのブリの照り焼きが大好物です。)
料理名 | 詳細 | 意味 | 理由 |
---|---|---|---|
えびの焼き物 | えびの塩焼き | 長寿 | えびの腰が曲がっているから |
鯛の焼き物 | 鯛の塩焼き(1匹まるまる姿焼きにすると豪華) | お祝い | めでたいの「たい」と「鯛(たい)」の語呂合わせ |
ブリの焼き物 | ブリの照り焼き | 出世祈願 | ブリが出世魚だから |
三の重
三の重には、箸休めとなる下記のような「酢の物」を入れるのが定番です。
料理名 | 詳細 | 意味 | 理由 |
---|---|---|---|
菊花かぶ | かぶを菊の花に見立てて切った酢漬け | 邪気を払う | 菊には邪気を払う力があるとされているから |
紅白なます | 千切りにした大根と人参の酢漬け | お祝い 家業の安定 | 紅白はめでたい色で、大根と人参は根を張ることから「安定」を意味するから |
与の重
与の重には、山の幸の煮物を入れるのが定番です。鶏肉などと一緒に根菜を筑前煮にするのが一般的です。多くの具材を一緒に煮込むことから「家族みんなで仲良くする」というような意味もあるようです。
料理名 | 詳細 | 意味 | 理由 |
---|---|---|---|
筑前煮 | れんこん、にんじん、だいこん、しいたけ、ごぼうなどを鶏肉と一緒に煮たもの | れんこんは「見通しのよさ」しいたけは「長寿」ごぼうは「家業の安定」、筑前煮自体は「家族みんなで仲良く」 | れんこんは穴が空いているから、しいたけは長寿の象徴である亀の甲羅に似ているから、ごぼうは根を張るから、筑前煮は色んな物を一緒に煮るから |
白煮 | 黒豆を甘く煮詰めた料理 | 子孫繁栄 | 1つの種芋にたくさんの芋がなるから |
手綱こんにゃく | ねじったこんにゃくの煮物 | 良縁・夫婦円満 | ねじったこんにゃくに結び目ができるから「(縁を)結ぶ」とかけている |
五の重
五の重は「控えの重」と呼ばれ、何も入れないのが一般的です。あえて空っぽにしておくことで繁栄の余地があることを意味するそうです。
まとめ
いかがでしたか?おせち料理は年の始めに食べる豪華な料理というだけでなく一品ずつに意味があり、新しい一年に向けた願いが込められた伝統ある料理だとおわかりいただけたかと思います。
おせち料理の他にも日本のお正月には様々な伝統行事や言い伝えなどがあります。
下の投稿では日本のお正月にどんなことをするのかを紹介しているので、そちらもぜひご覧ください!
それではみなさん、素敵なお正月をお過ごしください~!