日本語を勉強する人にとって難しいものの1つに敬語があります。そして、そのたくさんある敬語の中で代表的なものが「よろしくお願いします」という言葉です。

日本語を話す人たちとコミュニケーションをとるには、この言葉を使わないわけにはいきません。ビジネスではもちろんのこと、日常的にさまざまなシチュエーションで使われます。いっけん簡単そうに見えますが、実はその使い方は複雑です。ただし日本語を使いこなせるようになるには、この表現をマスターしないといけません。

この投稿では「よろしくお願いします」の意味と代表的な使い方について説明します。最後まで読めばきっと「よろしくお願いします」を正しく使えるようになると思います。
それでは始めます。よろしくお願いします。

「よろしくお願いします」の意味

そもそも「よろしくお願いします」とはどういう意味なのでしょうか?

「よろしくお願いします」は「よろしく」と「お願いします」の2つの部分に分けることができます。

簡単な後半の「お願いします」の部分は、相手に何かを依頼するときの表現です。英語で言うと”please (do)”になります。そして前半の「よろしく」は、日本の古い言葉で「適当に」「ほどよく」などの意味があります。似た言葉に「よし」という言葉がありますが、「よし」は”good”を意味するのに対し、「よろしく」は必ずしも”good”である必要はなく、「適切な(appropriately)」「妥当な(properly)」という意味になります。

「よろしくお願いします」を直訳すると”Please do it properly”のような意味になるのですが、何をするかは相手に任せるということがポイントです。お願いしたいことを具体的に伝えるのではなく、「あなたのできる範囲で適切と思うことをやってください」という意味で、日本語らしいあいまいな表現です。これだと相手は”No”とは言わないので、スムーズに会話が進みます。

以降では「よろしくお願いします」の代表的な使い方について説明します。

「よろしくお願いします」の代表的な使い方

自己紹介で”Nice to meet you”としての「よろしくお願いします」

初めて自己紹介をするとき、自分の名前、出身地、仕事などを言った最後に 「よろしくお願いします」と言います。この場合、「よろしくお願いします」は英語の “Nice to meet you” に相当します。

ミーティングや面接を始めるときの「よろしくお願いします」

ミーティングや面接を始めるとき、司会者が冒頭の挨拶をしたあとに「よろしくお願いします」と言います。この場合、英語の”Shall we begin”や”Lets get started”の意味になります。
参加者はそれに続けて「よろしくお願いします」と返すのが一般的です。

事前にお礼を言うときの「よろしくお願いします」

上で「よろしくお願いします」では具体的なお願い事項は伝えないと書きましたが、具体的なお願いをするときにも使うことがあります。

例 「事前に資料をご確認いただくよう、よろしくお願いします。」

この場合、「よろしく」をつけることで「お願いしたい」気持ちを伝えながら表現を和らげる効果があります。ここでの「よろしくお願いします」は英語の”Thank you (in advance)”に相当します。英語の”Thank you”に相当する日本語は「ありがとうございます」ですが、事前にお礼を言うときには使いません。事前にお礼を言う場合は、「ありがとうございます」の代わりに「よろしくお願いします」を使います。

eメールの文末に使う「よろしくお願いします」

友達同士のメールではほとんど使いませんが、ビジネスメールではメールの最後に「よろしくお願いします」と書きます。これは、英語メールの”Best regards”や”Yours truly”とほぼ同じです。

「よろしくお願いします」はほかにも様々なシチュエーションで使われます。たとえば、誰か好きな人に告白したり、プロポーズしたりしたとき、OKの意味で「よろしくお願いします」と返事することもあります。

「よろしくお願いします」の変化系

「よろしくお願いします」は、相手や状況に応じてさまざまな形に変化します。

  1. カジュアル:「よろしく」(友人、家族、パートナーなど)
  2. ニュートラル :「よろしくお願いします」(ほとんどの場面で使えます)
  3. 丁寧: 「どうぞよろしくお願いいたします」(フォーマルなビジネスでのやり取りや、自分よりずっと上の立場の人とのコミュニケーションなどで使われます)

まとめ

「よろしくお願いします」は基本的に相手に何かをお願いするときに使う言葉ですが、それ以外にも対話や活動、あるいは関係を始めるときにも使います。「よろしくお願いします」は話をスムーズに進める効果があり、とても便利な表現です。

まずは初めて会った人に自己紹介するとき、「よろしくお願いします」と言ってみてください。